新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で、様々な市場で「除菌」「抗菌」といったアイテムを目にするようになりました。今回は、このコロナ禍で注目を浴びている寝具メーカーがつくる“あるアイテム”をご紹介します。
栃木県宇都宮市で、布団・寝具を製造する株式会社マルゼンでは、毎年発生するインフルエンザやノロウィルスなどの感染症流行対策として 【※SEK認証抗ウイルス加工繊維】を使用した抗ウイルスマスク「ピアレスガード」を2019年に開発。マスクに必要とされる性能を持つ生地と、寝具メーカーが持つ加工技術の親和性の高さから生まれたこの商品は、今回の新型コロナウイルスの流行によるマスク需要下で多くの注目を浴びることとなりました。
※抗ウイルス加工は、繊維状の特定のウイルスの数を減少させる加工です。病気の治療や予防を目的とするものではありません。抗ウイルス性試験は、ウイルス株:ATCC VR-1679(エンブローブ有)を25℃で2時間放置して実施しております。抗ウイルス加工は、ウイルスの働きを抑制するものではありません。
寝具メーカーという圧倒的な強み
そもそも寝具メーカーは「抗菌」「防臭」「消臭」などの加工を寝具の生地に施し、付加価値をつけた寝具を開発しています。しかし、それらの目に見えないものの効果や性能の良し悪しを証明することは簡単なことではありません。
そこで2015年、株式会社マルゼンは「SEKマーク」という一般社団法人繊維評価技術協議会が発行する認証マークを取得。目には見えない「抗菌」「防臭」「消臭」などの加工技術の高さを公的に証明したうえで、その技術をもって商品を開発してきました。普段は寝具の製造をメインとする同社ですが、代表の善林氏はSEKマークの中に「抗ウイルス」の認証が含まれることに目をつけ、マスクの開発製造を決めたのです。
SEK認証の抗ウイルス加工繊維を使用したマスク
そこで開発したのが抗ウイルス対策の三層構造マスク「ピアレスガード」。外側の素材に抗ウイルス加工を施すことで特定のウイルス数を大幅に減少。内側には、抗菌・防臭・消臭加工を施したポリエステル素材を使い、細菌の増殖と臭いを抑制します。これらの効果は洗濯をしても持続されるため、繰り返し洗濯をしても清潔・快適に使えるのが特長です。
また、中面にウレタンを挟むことで、全方向にストレッチが効き、耳が痛くなりにくい快適な付け心地と抜群のフィット感が実現しました。
長年に渡る抗ウイルスへの取り組みと想い
「抗ウイルス素材は10年程前から着目して商品の開発に取り組んできました」と語る善林氏。長きに渡る研究と開発の結果はSEKマークの認証値にも現れています。SEKマークは、活性値 3.0(ウイルスを1,000分の1減少)以上が取得基準値であるところ、同社は4.5の活性値を出し認証を取得。これは60,000分の1ウイルスを減少させる効果があるということを証明しています。「この生地が必要になる時が必ず来るはずと考えていました。こうした“目に見えない効果”をもつ加工生地が、今後はより高い付加価値を持って多く開発されていくでしょう。今回は需要に伴いマスクに注目がありますが、寝具の世界にも“生地の付加価値の時代”がすぐそこに来ていると感じています」
目に見えないものから人々を守る技術の進化を
新型コロナウイルスの流行により、“目に見えない敵“に対しての怖さと対策への意識が高まり、その敵から身を守る製品にも注目が向けられるようになりました。
FUTONSTAR各社が持つ、布団・寝具の生産で培ってきた技術や知識は、皆様の睡眠だけでなく、24時間365日の日常生活をも支え守るための技術として、これからも様々な形で皆様の手元に届くことになるかもしれません。業界の枠にとらわれずにそれぞれの強みを活かし、人々の生活をより豊かで安全なものにする製品を開発することが、求められているのではないでしょうか。