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今までにない「ふとん」の会社に。四国繊維の新しい挑戦。

昭和41 年、こたつの生産が盛んだった香川県にて、セット販売するこたつ布団を中心に製造する会社として創業した四国繊維販売株式会社。その後寝具の製造にも幅を広げ、国内トップクラスの規模へと成長するが、そこには紆余曲折の歴史があった。

「新参者」ならではのアイデア勝負

四国繊維販売は、業界内では新しい会社に分類される。大きな設備を必要とする布団工場は、新規参入の壁が高く、また時代とともに、布団の主な原料が綿からポリエステルに変わったことで海外でも安価に製造が可能となり、国産布団の需要は縮小される一方だ。

しかし四国繊維販売はそれを逆手にとり、ポリエステル主流になりかけたタイミングで、広大な工場面積を活かし設備を投資。繊細かつ正確な管理体制を武器に、小ロットの加工や短納期での生産にも柔軟に対応できる設備環境を整えた。

また、日本製製品の海外への販売や、若い世代の積極的な採用・育成など、国内の寝具業界を再び活性化させるべく、新たなチャレンジに取り組んでいる。

 

経営危機からのV字回復

四国繊維販売が新たなチャレンジに取り組むきっかけとなったのは、他でもない2008年に起きた経営危機だ。業界の環境の変化に追いつけず、資金繰りが悪化。窮地に陥ったまま先代が急逝し、それを引き継いだのが現会長の斎藤勤氏だ。

「私が引き継ぐ以前は、誰も会社の正確な数字が見えていない状態でした。製造業でありながら正確な原価や製造能力、財務体質等、すべてが分からないままに決められ、間違っているかどうかも判断できない状態に大きな危機感を感じていました。私が引き継いでからは、良いことも悪いこともすべてオープンにし、全員参加型経営を意識しみんなで会社の再建を行う、参加してもらうことを意識して取り組んできました。」

経営危機から一転、V字回復に導いた斎藤会長。全員経営を掲げ、さらなる成長を目指す。

斎藤会長は自社の強みを再定義し、培ってきた技術を活かした自社製造販売を積極的に強化。それまでの「売上」至上主義から「利益」至上主義に180度転換し、社内のベクトルを同じ方向に向かわせることを第一に考えた。

「中国などの海外製品に対抗するには、日本製にしか、当社にしかできない強みを活かした商品の取り組みが必要でした。より速い『スピード』、より多くの『スケール』、きめ細やかな『サプライチェーン』。当社ではこれを3つのSと呼び、今まで培った経験をより消費者目線に立ってご提案することによって、少しずつ改善拡大できたのだと思います。」(斎藤会長)

2016年にMQ会計を導入、全員経営を目指し現場スタッフとも改善点や数字を共有。チーム全体で改善していくという意識を共有することが社員のモチベーションアップにも繋がり、会社の雰囲気は一変。事業再生を果たし、いよいよここから攻めの経営にシフトしていく。

工場内も明るく清潔な環境に。生産管理を徹底し、国内最大クラスの生産設備を回している。

 

今までにない新しい「ふとん工場」に

斎藤会長は自社工場を「ふとんファクトリー」と名付け、今までにない新しい布団工場の価値を発信している。目指すは工場のショールーム化だ。

香川県高松市に構える四国繊維販売の工場敷地には、カフェテリアのようなコミュニケーションルーム”いこい”が設けられ、営業スタッフ・工場スタッフ、時には役員も、別け隔てなく休憩時間をくつろいだり、スタッフ同士が談笑する様子を見ることができる。

使わなくなった大型ミシンが居座り物置状態となっていたというスペースを改装し、女性スタッフ専用の畳の休憩スペースやキッチンスペースも備え、まさにスタッフのいこいの場となっている。

「まずは目に見え、感じる環境整備を行いスタッフの意識を変えていくために、コミュニケーションルーム”いこい”を整備しました。それまでは満足な休憩場所もなく、昼食は各々の現場や車の中で食べるといった状態で、社員同士のコミュニケーションも仕事以外ではほとんどとれない状態でした。」(斎藤会長)

スタッフ同士がコミュニケーションを活発にとりモチベーションアップにつなげたい、という思いで作られたスペースは、今では多くのスタッフが場所を活用。「まさにスタッフがみんなでこの場を創り上げています。」と斎藤会長が話すように、誕生日会や食事会などのイベントから経営方針発表会までこの場で開催され、会社にとって欠かせない場所となった。

カフェのように明るく開放的なコミュニケーションルーム“いこい”。環境の整備が、スタッフのモチベーションアップに直結した。

 

コロナ禍も前向きに捉え、ふとん業界に新しい風を

コミュニケーションルーム”いこい”の壁には3つの約束が記されている。人を大切にすること、確かな品質と最高のサービスを提供すること、夢ある未来へ成長し続けること。四国繊維はこの3つの約束をぶれさせることなく、社員の力を結集させ「日本一」の会社を真剣に目指している。

そんなさなか訪れたコロナ禍。人々の生活も、会社を取り巻く環境も大きく変化した。しかし斎藤会長はそれも前向きに捉え、新たに2つのチャレンジを行うという。「1つは消費者に近い場所でビジネスを行うことです。我々から消費者の方へアプローチをかけ消費者の意見を中心とした新商品開発。2つ目は、今まで全く行ってこなかった広告宣伝です。当社のことを知ってもらおう、ふとんファクトリーの商品をもっと知ってもらおうということをテーマに、各媒体への露出を行っていきます」(斎藤会長)

使わない大型ミシンが置かれていたという工場の一番良い場所をコミュニケーションルームに改装。同業他社も多く視察に訪れるという。

「ふとんファクトリー」には同業者も多く見学に訪れるなど、業界内での交流にも積極的。新卒採用の強化や、地元専門学校とのコラボレーション、クラウドファウンディングを活用した新商品の研究開発など、ここ「ふとんファクトリー」を中心に、業界に新しい風を吹かそうと、その歩みはここからさらに速度を増す構えだ。

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