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相談の間口を広げるために。アサギが取り組むアスリート支援

明治39 年に山形県で創業したアサギ株式会社。よりユーザーに近いところで自社の商品を案内したいという思いから始めた、アスリートへの支援。その輪は徐々に広がり、地元山形に多くの“アサギファン”を生むことになる。ユーザーとの信頼関係を築くまでの取り組みと、そこに懸ける思いを伺った。

山形県の企業として、県民の力になりたい

明治39 年に製綿業者として山形県で創業し、110 年以上地元に根を張り営業しているアサギ株式会社元々は自社工場での寝具の製造と卸売業がメインだったが、よりユーザーに近いところで自社の商品を案内したいという思いから、独自の健康志向の敷き布団などを開発し、近年は小売業への展開を行っている。

その中で、地域住民の皆さんに寄り添い日常生活の役に立ちたいという思いから生まれた取り組みが、地元のJリーグチーム・モンテディオ山形への支援だ。2013年よりスポンサードを開始し、日本では珍しい「オフィシャルコンディショニングサプライヤー」という形で毎年50名近くの選手・スタッフへの寝具の提供とアドバイスを行っている。

パートナーとして選手を支える

アサギが特に意識しているのは、寝具を「提供」するだけの関係で終わらせないということだ。所属する選手のほとんどは、実際にアサギの店舗に来店し、スタッフのアドバイスのもと敷布団と枕をフィッティング。提供後も選手と密にコミュニケーションを取り、困ったことがあればフォローし解決できるような関係を築いている。

実際にフィッティングを行うモンテディオ山形の選手達。ベテランのスタッフが、一人ひとりの適正や好みを確認しながら商品を選ぶ。

「私自身もアサギの名前を覚えてもらうために練習場に顔を出したり、サポーターの皆さんとも積極的に交流しています」と、浅黄利洋支店長が語るように、モンテディオの存在がハブとなり、サポーター、そして県民へと会社の認知度は広がっていった。「選手と同じ寝具を使いたい」と店舗を訪問するサポーターも多い。

「単なる広告として選手に提供しているわけではない。小さい企業ならではの手厚いサポートを心がけ、アフターフォローも一人ひとり丁寧に行います。使ってみて調子がわるければ相談を受け、カスタマイズをしたり。その時の選手の意見がアサギの商品開発にも活かされ、WinWinの関係です。」(利洋氏)

モンテディオ山形の支援をきっかけにサポーターとの輪も広がり、多くのサポーターがアサギの店舗を訪れるようになった。

様々なアスリートへの広がり

モンテディオから他チームへ移籍した後もアサギの寝具を好んで使う選手も多く、移籍先の選手にもその輪が広がりつつあるという。ヴィッセル神戸の酒井高徳選手や、川崎フロンターレの家長昭博選手など日本代表経験もある選手にも寝具の提供を行い、特にキャリアが長く体へのケアを重視するようになった選手のコンディションの維持に一役買っているという。

日本代表で、ドイツ・ブンデスリーガなどで活躍した酒井高徳選手(ヴィッセル神戸)にも寝具を提供している。

「布団は、健康維持のための道具だと思っています。年齢が上がれば代謝も落ち、パワーも落ちるが、それをどれだけ維持できるかどうか。そのためにしっかりした睡眠を取ってもらえるよう、最適な寝具を開発し、選手の皆さんにご提案しています」(利洋氏)

利洋氏はメジャースポーツだけでなく、スラックラインやダンスといった幅広いジャンルのスポーツにもに目を向け選手をサポート。新型コロナウイルスの流行によりスポーツ選手だけでなく、一般の人達の間でも「免疫力」への意識が高まった今、スポーツ選手をハブとして、若い人たちにも健康な体を維持するための「睡眠の質」が大事だということを普及していきたい、と利洋氏は考える。

寝具を提供するスラックラインの元世界チャンピオン、福田恭巳選手。様々な競技に支援を行い、ユーザーとの接点を増やそうと試みている。

 

選手生命を伸ばすための手助けを

こうしてアスリートとの接点を多く持つことで得た意見を元に、アサギは従来の製品からさらにニーズを細分化。冷え性専用、腰痛専用など、より個人のニーズに合うようなラインナップを開発した。

バランス良く体を点で支える特殊な加工を施したウレタンを使用した敷布団は、ストイックに体をケアするアスリートにも好評。ベテランになってから睡眠をケアをしたことによりパフォーマンスが上がった選手もいる。

「科学的にケアをして選手生命を伸ばすことが、これからのアスリートに求められている。その手助けを行いたい」という利洋氏の思いが実を結びつつある。

熟睡専用、腰痛専用、冷え性専用など特徴を細分化した商品を開発。ユーザーの求める要素に合わせて選べるよう、ラインナップがマトリックス化されている。

相談の間口を広げていきたい

寝具の提供を行うと、それまで睡眠には無関心だった若い選手も関心を持つようになったという。「質の高い睡眠は誰もが求めているが、相談する機会や、何が本当に良いのかを知る機会がないだけ。相談し正しい寝具を使えば、睡眠の質が改善できる可能性はかなり高い。」(利洋氏)

寝具もネットや量販店で買うのがメインになってきたが、アサギの場合は相談できるお店・人が身近にいるということが、ユーザーの安心と信頼につながっている。

アスリートへの支援を通して、その間口を一般の方々にも広げていくことが、アサギに課せられた使命なのかもしれない。

 

 

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